ミノリン教授のクリティカルな日々。いたずらターリーぬいぐるみ日記もいっしょ。 ★4月~9月までのドイツ研究滞在日記を半年遅れで掲載中です。 
by fantacl
ミュージアムタウン フランクフルト
この間だよなと思ったことが10年前だったりすることがよくある今日この頃。
あーこの記事もなんと13年前!!! 
インターネットもブログもなかった時代だし、アーカイブとして投稿します。
(そんな時代だったのかって、今では不思議な気もするほどですね、、、)

ミュージアムタウン フランクフルト  Kunst Museum Frankfrut am Main

 中部ドイツ、マイン河が町の東西を貫くフランクフルトは、ドイツ商工金融の中心地として、又、文豪ゲーテ生誕の町として我が国でも有名である。
しかし、人口約70万のこの町に、大小40もの美術館、博物館の類が存在することは、それほど知られていない。なかでもマイン河畔は博物館街とよばれ、8 つの興味深い市立博物館がずら町と並び、その近くに更に5つの博物館が集中的に存在する世界的にも極めて密度の高いミュージアムタウンとなっている。
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美術関係の主なところでは、河畔の工芸博物館や建築博物館、絵画博物館、絵画のシュテーディル美術館、彫刻のリーピックハウス、中心街近くの現代美術館、シルン美術館など盛り沢山である。観光客は市の中心街ツアイルでのショッピングや食事のあと、河畔への道をたどれば、必ず幾つかの美術館、博物館に出合うルートを取ることになる。

まず市中心地近くにあってひときわ目を引くのは、建築家ハンスホラインの手により最近新築となったMMKこと現代美術館である。ベージュを基調とした外壁に、この地方特産の赤砂岩を縁取りにあしらって形を締めた構成と、直角三角形の敷地ピッタりに切り立ったその姿は、ドイツ語でいうショートケーキの意味でトルテと呼ばれ、市民の人気を集めている。

内部は3層に重なり、およそ70平米から200平米までの40室に分かれ、基本的に各部屋ひとりずつの羨ましい展示構成になっている。その殆どがボイスやデマリア、ドナルドジャツドやビルビオラといったドクメンタなどで、お馴染みの現代美術作家の特集であるが、全ての作家に推薦者であるキュレーターの名も、セットになってパンフレットに記載されている点が興味を引く。



              *   *   *
日本人では唯一、河原温がその日記絵画をレーネデニツオットと言うキュレーターによって、3階に200平米ほどの部屋を与えられている。私は、展示されている全てを理解できるわけではないし、むしろコンセプチエアルなあまり、難解で冷たく退屈な感じのする作家も少なくないが、おそらく、その歴史的評価に更に時間を要する今日の作家たちに、これほどまでに空間をあたえ、青任をもって展示している他所を知らない。

その他、これも新しいシルン美術館は、外観がなぜか横浜美術館にそっくり。どっちが先か知らないが、内部の拡散光スクリーンを通した豊富な天井光の採光システムは極めて効果的で、抽象のタピエスと彫刻のチリダの企画展示が一つ一つ空間に浮かぴ上がって美しく、とても見やすかった。

 第2次世界大戦で全土が廃墟と化したドイツでは、まずオペラ座の煉瓦を積みなおすところから、復興を開始した町が少なくないと開く。この国では芸術は、市民の日常生活と切り離せないもののようだ。人口70万といえば筆者の住む相模原市と同規模である。その成り立ちや、歴史的背景を一概に比べられないが、文化的環境を考える上で規範になる要素を充分にもつ町であるように思う。因みに、市街地の3分の1は緑地や公園として整備されている。

余談ではあるが、MMKの画廊街方面に開かれた一階のカフェのメニューには、館のミニュチェアかと見紛う大型で固くしまった美味しいチーズケーキがあって人気を呼んでいた。そこには、ややもすると晦渋におもわれ、敬遠されがちな現代美術館が、ごく当り前にデートスポットとなって街に溶け込んでいる姿があった。
    
    ヤマザキ ミノリ 造形家    (1993年10月20日、沿線アートに掲載)
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by fantacl | 2006-03-26 12:34 | 美術と展覧会
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